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野球のグローブに使われる革の特徴とは?

素晴らしい仕事は素晴らしい道具から生まれるもの…。

スポーツも例外ではありません。野球グローブは野球選手にとっては生命線と言っても過言ではないアイテムで、プレイの精度にも大きく影響します。
バッドやボールと違い、グローブは一つの物を長期間愛用しているという選手が多いのですが、そこには「革」という素材が持つ特徴が関わっています。

目次

野球グローブに求められる3つの特性

動物の皮は、財布やバッグなどいろいろな日用品に使用されています。
ではこれらのアイテムと野球グローブの違いは何なのでしょうか?
野球グローブは当然ですが野球で使用されるものですので
日用品にはない機能が求められます。

それが「耐久性」「弾力性」「柔軟性」の三つとなります。

耐久性について
グローブは何千何万という捕球に耐え、プレイヤーの手を保護しなければなりません。
特に捕球機会の多いキャッチャーミットやファーストミットは、とにかく軽くて耐久性が高いものが好まれます。キャッチャーミットは時に時速百キロを超える球を受け止めることになるのですから、耐久力の高さが求められるのも頷けます。

弾力性について
グローブは捕球のために使う道具です。鋭い打球もポテポテと弾む打球も同じように正確に素早く掴むためには、グローブにボールの回転や勢いを吸収するための弾力性が必要となります

柔軟性について
ボールを掴むことができても、そこから素早く対応するためには、グローブを身体の一部のように扱わねばならず、そのためには複雑な手の動きを邪魔しないような柔軟性が必要です。特に内野手用グローブはいろいろな種類の球に対応するため、手のように扱えるしなやかさやフィット感が求められます。

よく使用される革は?

野球グローブのほとんどは牛革で作られています。
牛革は他の動物に比べて組織が均一で丈夫であり、かつ成育年数や雄雌によっていろいろな性質があります。
これにより、多様なグローブを作ることができます。

野球グローブでよく使われるのがキップレザー」「ステアハイド」と呼ばれる牛革になります。

キップレザーは生後六ヶ月から二年程度の仔牛から採れる革です。仔牛の皮は大人の牛の皮に比べてキメが細かく線維が柔らかいため、しっとりしていて軽いグラブになります。

これに対してステアハイドは、生後二年以上経過した去勢された雄牛から採れる革です。肉牛として飼育された牛から採れるため、野球グローブに限らず代表的な牛革と言えます
生後六ヶ月以内に去勢された牛は気性が穏やかになり、雄同士喧嘩をしなくなります。そのため皮に傷がつきにくくなり、革の厚みや繊維密度も安定し、革製品に適した状態となるのです。

キップレザーの方がステアハイドよりも高価ですが、これはキップレザーの方が革の価値が高いことに理由があります。当然ながら牛一頭から採れる革の量は、大人よりも子供の方が少なくなります。
そのためキップレザーの方が希少で価値が高くなるのです。ただ高いから質がいい、という単純な話ではありません。キップレザーは確かに軽量できめ細かく、手触りもいいのですが、耐久性に劣るという欠点があります。

そのため、炎天下で激しい練習を行い、高頻度でグローブを買い替えるのが現実的ではない高校球児にとっては、丈夫なステアハイドの方が向いています。
高級なキ
ップレザーはプロ野球選手のグローブによく用いられています。

野球グローブに適した加工方法

動物から採れた皮が、製品である革に生まれ変わるまでには、多くの工程を経ることになります。
動物の皮そのものは丈夫で柔軟性に富んでいるのですが、時間が経つと腐敗してしまいますし、乾燥すると板のように硬くなって柔軟性がなくなります。そうした欠点を取り除くため樹液や薬品を使って行われるのが、革製品についてよく聞かれる「なめし」という作業です。

なめし工程を経ていないものを皮、経たものを革と呼んで区別しています。しかしなめし工程を経て完成ではありません。動物の皮膚からできている革は、傷や繊維密度のばらつきなどがあるため、目的に応じて更に加工を施す必要があるのです。染色や加脂、仕上げなど加工の種類は様々で、見た目や風合いだけではなく、耐久性などにも影響します。

野球グローブに使用される革の大きな特徴として、「半芯通し」と呼ばれる染め方が挙げられます。そもそも革に色を付ける方法には、繊維の奥までしみこませる「染料」と、表面にだけ色を乗せる「顔料」の二種類があります。

このうち顔料は鮮やかな色が出やすい反面、革の表面に塗膜を作ることになるため、捕球時にボールの勢いを止める必要がある野球グローブでは使用されないのが一般的です。そこで繊維にしみこませる染料を使うことになるのですが、染料を革の芯まで入れてしまうと、革の繊維が弱くなって強度が落ちてしまいます。
そのため強度を出すために染料を芯まで入れない染め方である「半芯通し」が用いられているのです。断面が白い革は、野球グローブの大きな特徴と言えるでしょう。

半芯通しに対して、芯まで染料を入れる染め方を「芯通し」と呼びます。繊維が壊れて強度が落ちてしまうものの、そのおかげで柔らかい革になります。そのため、硬式野球用より弾力性や耐久性を求められない軟式野球用グローブでは、この芯通しの革が使われることも多いです。

グローブに魅力的な素上げ革とは?

染色を行った革製品は、その後仕上げ工程へと向かいます。仕上げ工程では塗膜を作って水耐性や耐摩耗性を付加したり、表面に加工を施して見た目や手触りといった革の表情を決めたりします。
仕上げは革の見た目を左右する非常に重要な工程ですが、敢えてこの仕上げ過程をほとんど行わない場合もあります。染色後、仕上げ材や着色剤を薬品をほとんど使用せず、革独特の表情を残したまま出来上がりとする革を「素上げ革」と言います。

仕上げは革の色落ちを防いだり、表面の傷やシワを隠したりする役目があるのですが、塗料や塗膜で革を覆うため、長持ちする反面革の持つ自然な風合いが損なわれてしまいます。革本来の風合いや個性を楽しめるのが素上げ革の魅力です。

野球グローブはこの素上げ革が用いられていることが多いです。革を強く長持ちさせてくれる仕上げ工程ですが、塗料や塗膜で革を覆ってしまうと、野球グローブが必要とする弾力性や柔軟性が減少してしまいます。グローブは見た目よりも機能、ということで素上げ革が用いられています。

また、素上げ革はコーティングが施されていないためシミになりやすいというデメリットがありますが、革の中にオイルをしみこませやすいという事になります。
革製品としてのデメリットが野球グローブになった途端、オイルが馴染みやすいという利点に変わるのです。ただし、オイルを塗れば塗るだけ吸収してしまうので要注意!オイルの塗りすぎには注意しましょう!

塗りすぎは耐久性だけではなくグローブそのものの寿命が縮んでしまいますし、塗ったオイルの分だけ重くなり、コーティングがない故の軽量感が失われてしまいます。
どれくらいの頻度でオイルを塗れば良いかなど、手入れについてはショップ店員などに詳しく聞いてみましょう。
使い込むほどに手に馴染む野球グローブの感覚は「不要な仕上げ加工をしない」革によって生まれているのです。

グローブは加工技術の結晶

野球グローブは、鞄や財布といった他の革製品にはない特性が求められます。
耐久性や弾力性、柔軟性といったグローブの機能を可能にしているのは、革そのものが持っている特性や、革に施されている加工技術によるものです。
道具に注目するのも野球観戦の楽しみの一つですが、時にはその素材にまで注目するのも楽しいと思います。
ぜひチームメイトや野球好きな知人とグローブの「革」について語り合ってみてはいかがでしょうか??
きっと楽しい時間が過ごせると思います。

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